設計・製作の事例
近年、多様性を認め合い、共に生きる社会の実現が求められています。
東京都では「だれもが遊べる児童遊具広場」として、障がいの有無や国籍にかかわらず、互いの違いを理解し、支え合いながら、すべての子どもが一緒に遊べるインクルーシブな遊び場の整備に向けたガイドラインを策定し、公園づくりを進めています。
アンスでも、こうした社会のニーズに応え、「だれもが遊べる遊具づくり」に取り組んでいます。アンスがこれまでに手がけた事例をご紹介します。
東京都立 砧公園
品川区 大井坂下公園
東京都港湾局 シンボルプロムナード公園
都市公園の遊び場は、子どもの能力や特性、背景などにかかわらず、あらゆる子どもに開かれたものです。
一方で、障がいのある子どもやその家族などからは、遊ぶことへの難しさや負担を感じるといった声もよせられています。こうした背景から近年、都市公園においてだれもが遊べる、いわゆるインクルーシブな遊び場の整備が進められています。
(引用:『みんなが遊べる、みんなで育てる都市公園の遊び場づくり参考事例集』 国土交通省都市局公園緑地・景観課、P.1~2)
東京都が定めた、都市公園における「だれもが遊べる児童遊具広場」整備ガイドラインを基に、造形力を活かし、その場所や、各施設の特色に合わせた“アンスならでは”のインクルーシブな造形物を、デザイン・設計・製作します。
インクルーシブな複合遊具とは、以下のような特色を持ちます。
※引用:『「だれもが遊べる児童遊具広場」整備ガイドライン』東京都建設局公園緑地部公園建設課、P.37
本紙でご紹介するアンスのインクルーシブな複合遊具について、以下のような特色があります。
微細な動作を伴う遊び
つかむ、押す、回す、つまむ、たたく、など
大きな動作を伴う遊び
這う、歩く、くぐる、車いすをこぐ、など
感覚刺激を伴う遊び
見る、聞く、さわる、など
桂川ウェルネスパークは、山梨県東部地域を見渡す丘の上に位置しています。
遊具を配した「遊びの庭」や、なだらかな芝生の広がる「交流広場」がある西ゾーン、里山での暮らしや農林業を身近に体験できる中央ゾーン、自然が多く残る東ゾーンの3区画に分かれており、特色が異なる施設がそろっています。家族や友人と魅力的な3つのゾーンが楽しめる、自然豊かな施設です。
アンスでは、西ゾーンの遊具エリア「遊びの庭」内にある、複合遊具と幅広すべり台の設計協力、製作・施工を行いました。
桂川ウェルネスパーク「みんなの面白ロード」の具体的な仕掛け・名称について、以下の通りご紹介します。
つまんだりつかんだり回したり微細運動を伴う遊びができます。
鐘ひもの高さを工夫し、車いすや背の低い子どもでも鳴らせます。
アルミや杉、御影石などを、叩いて素材による音の違いを楽しむことができます。
バチで叩くことにより、音を出して楽しみます。「叩く」という微細運動や、「聞く」という感覚的刺激を促します。
乳児がつかまり立ちや、擦り這いをして遊べます。側壁に座れるので保護者は側で見守ることができます。
床を玉石洗い出しで仕上げ、車いすやベビーカーで通行すると揺れを感じ、独特の感触を楽しめます。
入り口を楽しく彩るオブジェ。「カラフルな色彩」が感覚刺激を促し、「楽しい形」が想像力を育てます。
風景が、屈折したように見えます。視覚を刺激し想像力を育てます。
離れた2か所に設置しているため、パイプを通して会話ができます。
側壁を低くしたスペースで立ち止まって景色を楽しめます。
波型や凸型など、形の違いで映り方の変化を楽しめます。
ガラスビーズやタイルが、遊具を彩ります。光の反射やカラフルな色彩が子どもの色彩感覚を養います。
みんなの面白ロード
本体仕様:高度造形モルタル製(ゴムチップ仕上げ)、ガラスビーズ、モザイクタイル、他
寸法:W16,600×D2,000×H2,300(面白ロード)、φ3,000×H400(親子広場)
幅広すべり台
本体仕様:高度造形モルタル製 寸法:W16,350×H350~2,400
インクルーシブなすべり台とは、特に人気の児童遊具であり、以下のような特色を持ちます。
※引用:『「だれもが遊べる児童遊具広場」整備ガイドライン』東京都建設局公園緑地部公園建設課、P.41
本紙でご紹介する、アンスのインクルーシブすべり台について、以下のような特色があります。
横浜市で初めてのインクルーシブ遊具広場がある公園です。この遊具は様々な勾配を組合わせており、利用者が自分の能力に合わせて勾配を選んで利用できます。また、車いすでも移乗しやすいよう、踊り場に一部段差を設けています。
本体仕様:高度造形モルタル製(一部ゴムチップ仕上げ)
寸法:W18,000×H1,200
この遊具の滑り面は、下方が上方より緩い「寺勾配」となっています。この勾配は、全体が滑りやすい利点に加え、端部も緩くなるため、幼児も使いやすいよう設計されています。
本体仕様:高度造形モルタル製
第40回 都市公園等コンクール
材料・工法・施設部門 国土交通大臣賞受賞作品
全長約150mの丘の地形と遊具が一体化した大きな曲線の遊具に、角度と高さ、滑り方にも変化のある3つのスライダーがあり、幅広い年齢層が遊べます。表面は弾性の素材で被覆し、転倒時の衝撃緩和に配慮しています。
本体仕様:高度造形モルタル製
(ゴムチップ+ウレタントップコート仕上げ)
「子どもが自ら遊びを発見できる遊具」をコンセプトに、滑る、登る、穴をくぐる、鐘を鳴らすなど、利用者が自由に選択して遊べます。遊具にはスロープや手摺、休憩するベンチを配置しており、誰でも利用しやすいよう設計されています。
本体仕様:高度造形モルタル製
① 神奈川県横浜市 小柴自然公園
② 富山県黒部市 道の駅 KOKOくろべ
③ 埼玉県幸手市 埼玉県営権現堂2号公園
④ 山形県山形市 シェルターインクルーシブプレイス コパル
クッション系遊具とは、遊具の反発力を利用し、利用者自身が飛び跳ねたり、寝転んで揺れを感じたりすることが可能な、子どもたちに人気の高い遊具です。
※引用:『「だれもが遊べる児童遊具広場」整備ガイドライン』東京都建設局公園緑地部公園建設課、P49
本紙で紹介するアンスのクッション系遊具について、以下のような特色があります。
本体仕様:高度造形モルタル製(ゴムチップ+ウレタントップコート仕上げ)
寸法:W6,000×D8,000×H1,200
本体仕様:高度造形モルタル製(ゴムチップ仕上げ)
寸法:W3,300×D2,500×H400~800
本体仕様:高度造形モルタル製
(ゴムチップ、ゴムチップ+ウレタントップコート仕上げ)
本体仕様:高度造形モルタル製(ゴムチップ、ゴムチップ+ウレタントップコート仕上げ)
① 東京都品川区 台場浦公園
② 東京都世田谷区 シモキタ雨庭広場
③ 宮城県牡鹿郡女川町 マッシュパーク女川
④ 東京都千代田区 TOKYO TORCH Park
インクルーシブな砂場とは、さまざまな子どもが安心して楽しめるよう工夫された砂場です。従来の砂場では、砂面の低さや囲いが障害となり、車いす利用者には使いにくいことがありました。レイズド*砂場やテーブル型の砂場を配置することで、車いす利用者にも配慮した設計が求められています。
*レイズド … 意図的に持ち上げたという意味。
※引用:『「だれもが遊べる児童遊具広場」整備ガイドライン』東京都建設局公園緑地部公園建設課、P.52
本紙でご紹介するアンスのインクルーシブな砂場の事例について、以下のような特色があります。
横浜市で初めてのインクルーシブ遊具広場がある公園です。この遊具は様々な勾配を組合わせており、利用者が自分の能力に合わせて勾配を選んで利用できます。また、車いすでも移乗しやすいよう、踊り場に一部段差を設けています。
本体仕様:高度造形モルタル製
寸法:W4,250×D2,700×H800
おやこの鳥が並んでいるかの様な抽象形態のプレイスカルプチャーです。複合遊具の側面に、車いす利用可能な砂のテーブルを配置し、他の遊具と組み合わせたデザインとなっています。
本体仕様:高度造形モルタル製
寸法:W7,300×D4,400×H4,200
砂場寸法:W2,500×D500×H800
本体仕様:高度造形モルタル製
寸法:φ10,700×H1,000
本体仕様:高度造形モルタル製
寸法:φ10,200×H1,320
① 東京都品川区 大井坂下公園
② 埼玉県戸田市 大前公園
③ 千葉県松戸市 21世紀の森と広場
④ 神奈川県横須賀市 長井海の手公園ソレイユの丘
居心地の良い遊具とは、以下のような特色を持ちます。
※引用:『「だれもが遊べる児童遊具広場」整備ガイドライン』東京都建設局公園緑地部公園建設課、P.59
本紙でご紹介するアンスの居心地の良い遊具の事例について、以下のような特色があります。
本体仕様:高度造形モルタル製
寸法:約φ1,800×H2,600
本体仕様:高度造形モルタル製
寸法:φ2,000×H2,090
地元の中学生が考えた整備プランを形にした公園です。近隣にある、通称「タコ公園」と対になるよう「イカ」のモチーフが採用されています。遊具施設内には住民参加型のワークショップにて、公園の名前にある「梅」を塗装で施しました。
本体仕様:高度造形モルタル製
寸法:φ2,000×H3,080
遊具内部から見上げた様子
ワークショップにて説明を受ける様子
遊具内部に梅の花を塗装する親子
①東京都世田谷区 砧公園
②東京都品川区 大井坂下公園
③静岡県静岡市 梅が岡公園
インクルーシブな水遊び場とは、以下のような特色を持ちます。
※引用:『「だれもが遊べる児童遊具広場」整備ガイドライン』東京都建設局公園緑地部公園建設課、P.60
本紙でご紹介するアンスの居心地の良い遊具の事例について、以下のような特色があります。
本体仕様:高度造形モルタル製(玉石仕上げ)、黒御影石
寸法:約W5,400×D1,650×H800
本体仕様:高度造形モルタル製(擬岩仕上げ)
寸法:W3,100×D900×1,030
① 東京都世田谷区 岡本公園
② 東京都文京区 神明都電車庫跡公園
インクルーシブな自然遊び場とは、以下のような特色を持ちます。
*コージー … 居心地のよい、こじんまりした、くつろいだ、という意味。
※引用:『「だれもが遊べる児童遊具広場」整備ガイドライン』東京都建設局公園緑地部公園建設課、P.62
本紙でご紹介するアンスの事例については、砂のテーブルのように地面から立ち上げて作られており、車いす使用者や足の不自由な方だけではなく、あらゆる人が屈むことなく、植物に触れたり花の香りを楽しめる設計となっています。
本体仕様:高度造形モルタル製
寸法:W4,000×D1,000×H1,250
インクルーシブな広場に配置する水飲み・手洗い場について、以下のような整備上の留意事項があります。
※引用:『「だれもが遊べる児童遊具広場」整備ガイドライン』東京都建設局公園緑地部公園建設課、P.76
本紙でご紹介するアンスの事例について、以下の特徴があります。
本体仕様:アルミキャスト、モザイクタイル
インクルーシブな広場におけるベンチ設置には、以下のような配慮が求められます。
※引用:『「だれもが遊べる児童遊具広場」整備ガイドライン』東京都建設局公園緑地部公園建設課、P.77
1つのベンチで高さ5cmの段差を3段階設け、身長や体格差があっても利用しやすくなっています。背もたれがないため前後どちらからでも座ることができ、子どもの遊ぶ場所に合わせて見守りすることができます。
本体仕様:高度造形モルタル製
寸法:W8,000×D700×H450/H400/H350
多様性をテーマにしたベンチは、座面の高さや背もたれの有無が場所によって異なり、自分に合った座り方を選べます。端部は直線形状で、車いす利用者も車いすのまま、隣にいる人と並んで過ごしやすくなっています。
本体仕様:高度造形モルタル製
主な施設①: 東京都江東区 シンボルプロムナード公園
主な施設②: 神奈川県横浜市 小柴自然公園
主な施設③: 熊本県熊本市 辛島公園