事例紹介 Case study

UR都市機構/東京都 北区
ヌーヴェル赤羽台/赤羽台けやき公園

 

赤羽台団地建替え事業に伴う周辺地区のまちづくりの事例

赤羽台団地は、旧日本住宅公団(現:UR都市機構)により昭和37年に建設された大団地で、当時では斬新な、直交配置やスターハウスによるポイント住棟ゾーンなどが計画された名作団地です。この赤羽台団地を、居住水準の向上と周辺との一体的なまちづくりを目指し、同社の建て替え事業にてリニューアルした姿が『ヌーヴェル赤羽台』です。

アンスは、団地内、歴史的ファニチャー等の改修や、プレイロットの設計協力・製作・施工、隣接の赤羽台けやき公園の遊具をデザイン・設計・製作しました。

赤羽台けやき公園

名作団地『赤羽台団地』

赤羽台団地は、1962年に東京23区内として初めてとなる1,000戸を超える大規模団地として計画されました。4・5階建ての中層棟を基本としながら、7階建ての高層棟や、国の登録有形文化財に団地として初めて選ばれた「スターハウス」というポイント型住棟の配置、南面並行配置が一般的であった当時としては斬新な直交配置、中央に公園を抱える囲み型配置など変化のある景観が計画され、名作団地といわれてきました。

再生後の団地『ヌーヴェル赤羽台』

赤羽台団地では、建物の老朽化や立地上の特性等を踏まえ、多世代が交流できる都心近接住宅地の形成、地域に開かれた良好な環境のまちづくりをテーマに2000年(平成11年度)に建替え事業が着手開始となり、『ヌーヴェル赤羽台』として生まれ変わりました。
これからのまちづくり、住まいづくりには多様な価値観や表情が必要と考え、複数の建築家と協働して設計が行われています。まちなみ景観や設計内容の調整を行い、多様な個性が協調しながら連続するまちなみを目指して整備されています。

引用:UR都市機構『ヌーヴェル赤羽台における建替事業』
(https://www.ur-net.go.jp/rd_portal/archive/akabanedai.html)

赤羽台団地建て替え事業とアンスの関わり

赤羽台団地建て替え事業において、アンスは2018年より参画しました。
歴史を継承し、新たなシンボルとなる遊具や、赤羽台けやき公園(北区)の遊具、流政之ファニチャーの改修・移設、遺構を活用したベンチ、動物オブジェの改修・移設など、外構を彩る造形物の設計協力・製作・施工・改修を担当しました。

赤羽台建て替え事業とアンスの関わり年表
配置図

流政之のファニチャー(5種)

URまちとくらしのミュージアムの周辺に設置されているファニチャーは、彫刻家、流正之のスケッチから生まれました。UR都市機構の前身である日本住宅公団は、団地内共有の庭空間に、地域の個性を表現し、住む人々の心の風景を形づくるパブリックアートの重要性を提唱していました。それをいち早く実践したのが旧東鳩ヶ谷団地で、そこで親しまれていたファニチャーをヌーヴェル赤羽台に移設・保存しています。素朴でありながら力強く表現された造形は、団地の暮らしに溶け込み、自然な存在感を醸成しています。*1

アンスはこのファニチャー5種(テーブル・スツール・ベンチ・灯篭)について改修・移設を行いました。

袖付きベンチ:W1,890×D390×H660
内照式ベンチ:W2,240×D560×H510
背無しベンチ:W1,870×D390×H660
灯篭:W660×D1,000×H700
テーブルセット:
□830×H600(テーブル) φ340×H340(椅子)

遺構を利用したベンチ/ロングベンチ

整備に際し、従前団地の「記憶の継承」の一つとして遺構を使用したベンチがあります。
大正時代にこの場所にあった旧日本軍の陸軍被服本廠の遺構が再整備の際に出土し、基礎として再利用されました。*2

*2 引用:UR都市機構『ヌーヴェル赤羽台(東京都北区)』
(https://www.ur-net.go.jp/chintai_portal/rebuild/akabanedai.html)

遺構ベンチ:造形モルタル仕上げ
ロングベンチ:造形モルタル仕上げ

URまちとくらしのミュージアムについて

再整備に伴い、ヌーヴェル赤羽台の一角に、「URまちとくらしのミュージアム」が併設されました。このミュージアムは、旧赤羽台団地から現存し、登録有形文化財に登録された『スターハウス』等の保存住棟4棟と新築展示施設(ミュージアム棟)屋外空間からなるUR都市機構の企業ミュージアムです。

ミュージアム棟では、日本の鉄筋コンクリート造集合住宅の先駆けとなった、同潤会代官山アパートを始めとする4地区6戸の「復元住戸」や、映像・模型・パネル展示を用いて都市と集合住宅の暮らしの歴史や変遷等が紹介されています。*1

ミュージアム外観

ミュージアム棟の見学は入場無料・事前予約制になります。
詳しくは公式サイトご確認ください。(https://akabanemuseum.ur-net.go.jp/)

公団初期の2DK代表的な住宅、蓮根団地の復元住戸
住宅部品を壁一面に配した展示スペース

*1 引用:UR都市機構『ヌーヴェル赤羽台 URまちとくらしのミュージアム』
(https://www.ur-net.go.jp/chintai_portal/rebuild/akabanedai.html)

プレイロット(大型リボンスライダー)

旧団地に点在していた特徴的な公園の一つに「8の字公園」の愛称で親しまれた公園がありました。このプレイロットは、8の字公園内にあった特徴的な遊具をオマージュし、新しくデザインされた遊具です。

アンスはリボンスライダー系遊具の実績から、知見を活かし、設計協力・製作・施工を担当しました。

ライオンのオブジェの補修・移設

再整備に伴い、旧団地「8の字公園」内にあった、3体のライオンのオブジェをアンスにて補修・移設を行いました。
この3体のオブジェは、旧団地の頃から『親子のライオン』として、住民に親子の象徴のように愛されてきたオブジェです。特に、たてがみのあるライオンは、涙を落書きされた姿から『泣きライオン』と呼ばれ、親しまれてきました。そのため、補修の際に涙の跡も再現して施工しています。オブジェは補修後、旧団地と同じ配置で設置しました。
次世代の団地空間で生まれ変わった親子のライオンが、時代を超え、再び団地を見守る存在として親しまれています。

通称『泣きライオン』涙の跡を補修の際に再現している
旧団地8の字公園に設置されていた当時の様子

ゾウ・ハトのオブジェの改修・移設(ゾウ2体、ハト2種)

旧団地内にあったゾウのオブジェ、ハトのオブジェを改修・移設しました。ゾウのオブジェ2体は、ライオンのオブジェ同様、旧団地8の字公園から移設したものです。
改修前は、鉄筋の露出やくちばしの欠損、ゾウの鼻の折損など、通常の対応では修復が困難な状態でした。

アンスは、独自工法である高度造形モルタル工法を用い、欠けた部分の改修と全体の仕上げ直し等の補修を行いました。

東京都北区立 赤羽台けやき公園

赤羽台周辺地区計画に基づき、UR都市機構の団地跡地を活用して、住民の安全性と快適性、そして緑豊かな環境の魅力の向上を目指して整備された都市計画公園です。
北区が主体となって整備し、地域の憩いの場として、誰もが安心して利用できる空間づくりが図られています。

アンスは、公園のシンボルツリーである“けやき”をモチーフにした大きな切株のシンボル遊具を、デザイン・設計・製作・施工しました。

本体仕様:高度造形モルタル製(擬木仕上げ) 寸法:W11,420×D11,230×H3,950

デザインスケッチ(イメージ)

平面図

赤羽台のまちづくりについて

UR都市機構による赤羽台団地の建替事業に伴い、北区とUR都市機構は、2013年に「赤羽台地区のまちづくりに関する基本協定」を締結しました。

この協定に基づき、周辺地区の土地利用および公共施設等の整備や役割分担を定め、道路や公園等の整備を進めています。
団地建替事業により、建物が高層化され土地が高度利用されたため、地区内に創出用地が生み出されました。北区はその中のE-2街区を買収し、「赤羽台けやき公園」の整備を行いました。

*引用:東京都北区ウェブサイト『赤羽台周辺地区の新しいまちづくりについて』
動画スライド(https://www.city.kita.lg.jp

景観写真

団地内壁面に飾られた旧団地 8 の字公園の写真

設計・製作の事例

Data

ヌーヴェル赤羽台

  • 施主:独立行政法人都市再生機構
    (UR都市機構)東日本賃貸住宅本部
  • 設計(屋外):株式会社E-DESIGN
    株式会社総合設計研究所
  • 施工(屋外):西武造園株式会社
  • 完成:令和6年10月
  • 住所:東京都北区赤羽台2-3
  • 最寄り駅:JR「赤羽駅」より徒歩10分

赤羽台けやき公園

  • 施主:東京都北区
  • 設計:株式会社 緑景
  • 完成:令和4年3月
  • 住所:東京都北区赤羽台1-6-23
  • 最寄り駅:JR「赤羽駅」より徒歩13分

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