事例紹介 Case study

富山県 道の駅 KOKO くろべ マウンテンウォール
風景に溶け込む丘陵を生かしたすべり台の事例

コラボレーションの事例

「道の駅 KOKO くろべ」は富山県東部、黒部市の国道8号線上に位置します。名称は公募により「ここから黒部が発展してほしい」という思いが込められています。 特産品の販売や、地元の素材を活かした飲食物の提供を通じて、観光だけではなく日々の暮らしに寄り添った、地域振興に貢献する拠点を目指して整備されました。

また、隣接する「黒部市総合公園」の防災機能とも連携し、一時避難所や避難支援活動の拠点としての役割も担っています。
アンスではプレイエリアに大型すべり台「マウンテンウォール」を設計協力・製作・施工いたしました。

外構の様子

施設内の様子

KOKO くろべ マウンテンウォールについて

北アルプス・後立山連峰を望み、魅力を丁寧に作りこんだ園地を持つ「道の駅 KOKO くろべ」(堀 繁 先生より)

本道の駅は、国道と県道の高いのり面に囲まれた敷地でした。そこで、後立山連峰が見えるまで高くした巨大築山を敷地いっぱいに作り、のり面が隠れるように、道の駅の建物をその前に細長く作りました。建物と築山の間には狭い池を建物に沿って細長く作り、また、築山中腹にはふわふわドームとマウンテンウォールを入れました。狭い山腹へのこの2つの巨大な遊具の収め方が最も苦労した点の一つです。少しでも山腹を広くすると狭い池が押されて無くなってしまいます。等高線に沿ってドームとウォールを極力扁平にし、両者をくっ付けることでぎりぎり収めることが出来ました。

敷地図(「道の駅 KOKO くろべ」ホームページより引用)

展望台からの眺め、天気の良い日は北アルプスの山々がよく見える

マウンテンウォールの特徴(堀 繁 先生より)

1. 設置場所
眺望を得るために作った築山の中腹に設置しました。高さのある傾斜面の山腹は平坦な地面よりも格段に場所の魅力が上がります。
しかし、自由に作れる平坦面と違って、山腹に設置する構造物は方向も傾斜も幅も高さも制約を受けます。
そこで、以下の形状の工夫をおこないました。

※1) ウォールがドームを包み込むような形で配置されている

2. 平面形状の工夫
ふわふわドームとセットで山腹に設置することにしたため、平面形状の検討がまず必要でした。つまり、山腹に収めるため両者を極力扁平にして、両者が組み合うようにしました。そして、巨大なふわふわドームに負けないよう、マウンテンウォールも大きくし、ウォールがドームを包み込むような形としました(※1参照)。
これによって両者の一体感が格段に高まりましたが、狭い山腹に収めるため、山・ドーム・ウォールの三者の取り合いを、高さと傾斜も含めた三次元の空間の中で探りました。

3. 断面形状の工夫
断面は定規断面が一般的ですが、ここでは上方よりも下方が緩い寺勾配を用いました (※2参照 ) 。寺勾配の構造物は、寺勾配で作った築山によくなじみます。また、下方だけでなく端部も緩くなりますので、全体が滑りやすいだけでなく、特に端部は幼児も使いやすいと思います。
天端エッジは傾斜面が折れて始まるのが通常ですが、滑り始めをスムーズにするため天端面と傾斜面の間に曲面を入れました。折れ面の方が見た目はシャープになりますが、滑って楽しいことも大事な工夫と考えました。

マウンテンウォール
本体:高度造形モルタル 周囲:ゴムチップ舗装 寸法:W25,800×D9,400×H2,000

多くの来園者でにぎわっている

丘の上や下のベンチで保護者が子どもたちを見守っている

マウンテンウォールをすべる子ども

マウンテンウォールを登る子ども

コラボレーションの事例

Data

富山県 道の駅 KOKO くろべ マウンテンウォール

  • 施主:富山県黒部市
  • 構想/計画/基本設計:一般社団法人まちの魅力づくり研究室 堀 温子・堀 繁
  • 完成:令和4年4月
  • 所在地:富山県黒部市堀切925番地1
  • アクセス:北陸新幹線『黒部宇奈月温泉駅』下車国道8号線にて富山方面へ車で10分

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